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2/6 展覧会初日、オープニングイベントとしてアーティストトークが行われました。


ー作品について

藤野:ZONOさんの作品は岩絵具のテクスチャーとモチーフへの距離感が独特です。

ZONO:一番大きな作品は京都の『狐坂』という坂からの風景を、スケッチを重ねてつくりました。
僕は、そうして日頃自分の中にストックされている風景を画面に起こしています。

藤野:人間と風景が地続きの存在のように扱われていますね。



藤野:日本画というジャンルについて教えて下さい。

ZONO:一般には、岩絵具を使って描かれた絵画のことを日本画と呼びます。
そして様々な画壇、団体があります。僕が住んでる京都にも『〜会』といったものがあります。
僕はそこに在籍してはいませんが、自分のペースで、制作をしています。

藤野:今は日本画、というだけで閉鎖的なイメージがありますよね。

ZONO:確かにそれはあります。僕も最初は(日本画の)良さがわからなかった部分がありますが、岩絵具を使い始めてから徐々にわかるようになってきて...でもそれって日本画をやっている皆、そうだと思うんです。
だから日本画をやっている人間同士は共有し易いものがあるんですけど、僕はそれとは別の部分で絵を楽しみたいという気持ちがあって。

藤野:zonoさんの作品には、ある種の軽やかさがありますよね。
それはたぶん従来の日本画会のグダグダ感、だとかそういったところを向いてるんじゃなくて、何と言うかもっと根源的な部分。作家の持つ自然観ですかね。
無機的と有機的な部分が入れ替わるような、解体と再解釈。

ーアートの役割とは

藤野:これまで『アート』には沢山の細分化されたカテゴライズ、呼び名が生まれてきました。
『日本画』もそのひとつで、その細かなカテゴライズが意味を持っていた時代は確かにあったのですが、実際にはとっくに終わっていると思うんです。
その中でアートが存在していくのに重要な要素は、目に見えない部分である『価値観の更新』 だと思っています。

ZONO:成る程。

藤野:自分の中で今まで使われていなかったアンテナがパカって開く瞬間、みたいな。そういったもの。


ZONO:素材、ツールに固執して守られるものは特に無いと思います。名前にはこだわってないですし。ツールを権威的にして他との差別化を計ろうとした歴史もありますよね。


藤野:それってアートの外から見れば野球ファンが巨人好きか阪神好きか、ぐらいの差なので。かなりどうでもいい。
形式のみの更新では、思想が蓄積されません。媒介となるものは『もの(作品)』であっても軸にあるのは目に見えない部分、価値観の更新であるべきです。
日本の中で思想の伴わない形式は、アートだけでなく産業だとか、様々な面に表れています。自分たちスタンスを築いていく為には、単発のイベントのようなものだけではいけない。

僕は、作品は漫才における『フリ』みたいなものやなぁと思ってます。上質な『フリ』には、どれだけ面白いツッコミが産まれるかの装置としての役割がある。
想像力が劣化に向かう中でどれだけ想像力を喚起させることが出来るのか。

ZONO:絵をみることはとてもエネルギーの要ることで、今はそれをしなくても簡単にイメージを消費出来る時代ですよね。

藤野:作品は作家の目線、価値観です。ZONOさんの作品には自然への、あるいは人間への想像力が見て取れます。

ZONO:『ファンタジー』とか、そういう言葉が僕は好きで。ちょっとわかりづらいですけど、ディズニーランドみたいな絵を描きたいんです。そこにいる時だけいつもと違う幸せがあるような...

ー今後の活動

藤野:時代に対してリアリティのある価値観をことばで、行動で、作品で示していくことが出来たらと思います。なので展覧会も、イベントでのトークも、Ivoryの企画運営も、全て僕の作家としての活動です。

ZONO:今後もスケッチを続けていきたいです。またそれが溜まって凝縮されたら描く、といった繰り返しですね。





現在進行中の作家の声が聞けて、作品もトークが始まる前と違った見え方がするようでした。
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。

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